マインドフルネスの伝道師ティク・ナット・ハンが良くするという例え話を
紹介します。月に到着したふたりの宇宙飛行士が事故に会い、地球から救援隊
が来てくれる可能性は、ゼロ。酸素は、あと2日分しかない。彼らに今一番
したいことは何ですか? と尋ねたとしたら、きっとこう答えるだろう、と
いうのです。
To be back home walking on the beautiful planet Earth.
わが家に戻って、美しい地球の上を歩きたい。
それだけで充分。他に何を望むというのでしょう。だから、
We should live everyday like people who have just rescued from the moon.
We are on Earth now, and we need to enjoy walking on this precious planet.
毎日、月から救出されたばかりの人のように生きてみよう。
いまこの地上で、この尊く美しい惑星(ほし)の上を、味わい楽しみながら
歩いてみよう。
「死もなく、怖れもなく(no death, no fear)」より
いまここに生きていることのありがたさを語る、ティク・ナット・ハンの
言葉は、このようにつねに具体的でわかりやすい例えに満ちています。
私にとって、なかなかとっつきにくかった仏教の教えも、彼の著作を読む
ことで、かなり頭に入れることができました。しかも原書にチャレンジ
したことで、日本語ではなかなか理解できなかったことが、ストンと腑に
落ちたのです。英語は、日本語に比べて、あいまいさを許さない明晰な
言葉です。もちろん、どちらの言語が優れているというのではなく、
東洋そして日本についての「理解を深める」のにもっと英語を活用する
と良いのではないかと思うのです。いわば、自分の中での「逆輸入」。
試してみてはいかがでしょうか。