「暮らしのなかの瞑想入門」というサブタイトルがついた、伝道師ティク・ナット・
ハン著の「気づきの奇跡( The Miracle of Mindfulness )」では、座禅を組む本格的な
瞑想のやり方だけでなく、日常生活の中でマインドフルネスが獲得できる、様々な
方法が説明されています。例えば、お茶ひとつ入れるにしても、
Do each movement slowly, in mindfulness.
Do not let one detail of your movements go by without being mindful of it.
Know that your hand lifts the pot by its handle.
Know that you are pouring the fragrant warm tea into the cup.
Follow each step in mindfulness.
Breathe gently and more deeply than usual.
Take hold of your breath if your mind strays.
お茶をを入れるひとつひとつの動作をゆっくりと、気づきをもって行ないます。
細かな動作も、ひとつひとつていねいに、心をこめてお茶を入れます。
あなたの手がポットの把手を持つとき、温かく香り高いお茶をカップに注ぐとき、
そのひとつひとつの動作に気づいてください。
そして、いつもより深くやさしく呼吸をしてみましょう。
心がどこかにさまよいだしたら、呼吸に戻ります。
その他にも、皿洗い、洗濯、掃除など、ありとあらゆる日常動作において、つねに
「マインドフルネス(気づき)」を心がけて行なう。つまり、過去でも未来でもない
「いまこの時のリアリティ(現実の姿)をありありと意識すること=気づき」を大切に
して暮らせば、心の平穏、そして幸福へとつながるというのです。正直言って、
この本に書いてある瞑想法のすべてを身に着けることは、なかなかむずかしいと
思いますが、例えば、次にお茶を入れる時から、マインドフルネス獲得への一歩目を
踏み出すことなら、なんとかできそうです。自分とは関係のない「高尚な修行」では
なく、暮らしの中で実践できるマインドフルネス。その手引きとして、ティク・
ナット・ハンの英語に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。この「気づきの奇跡
( The Miracle of Mindfulness )」は、他の著作と比べると難解かも知れませんが、
CDそして翻訳本も揃っているので、ちょっとハードルの高い英語にチャレンジ
したい方にオススメです。