マインドフルネスを欧米に普及させた禅僧ティク・ナット・ハンが、見習い僧
のときに最初にした練習。それは、意識的に息を吸い、意識的に息を吐くと
いうものだった、と言います。入息(in-breath)は入息として、出息(out-breath)
は出息として心をこめて、ていねいにひと息ずつ確認しながら、「自分の息に触れる」
感覚をつかむ練習を行なったそうです。この意識的呼吸法は、仏教において、心の
平和を獲得するために最も基本的で大切な修行。「生けるブッダ、生けるキリスト」
では、以下のような短い詩を用いながら行なう練習を紹介しています。
Breathing in, I calm my body.
Breathing out, I smile.
Dwelling in the present moment,
I know this is a wonderful moment.
息を吸って 私はしずか
息を吐いて 私は微笑む
このいまに生きることこそが
私には すばらしい一瞬(ひととき)
ここで大切なことは、余念をいっさい挟まず、「いま・ここ」に集中すること。
そうすれば、自分がいまどこにいるかがはっきりとわかるはずだと言います。
いまの自分の生活を本当に生きる方法があるとすれば、それは、現在のこのときに
自分を置き、自分がいまここにいるという事実に気づき、現在のこのときをおいて
ほかに生きるときはない、ということにしっかり気づくことが大切だと言うのです。
ティク・ナット・ハンの解説はさらに続きます。
We can even shorten the verse to six words. As we breathe in, we say to
ourselves, ”Calming,” and as we breathe out, we say, “Smiling.” As we breathe in
again, we say, “Present moment,” and as we breathe out, “Wonderful moment.”
Practicing this way can help us touch peace right away.
この詩をもっと短く縮めて六つの言葉にして覚えてもよいでしょう。息を吸い
ながら「しずかに」、息を吐きながら「微笑む」と言い、次にもう一度息を吸い
ながら「いまこのときが」、吐きながら「すばらしい一瞬」と言ってみます。
これだけの練習で、私たちはすぐに自分のなかにある平和に触れることができます。
- 作者: Thich Nhat Hanh,Ben Kingsley
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