無常とともに、仏教を語るうえで欠かせないのが「無我(nonself)」への悟り。
禅僧ティク・ナット・ハンによれば、無我とは「自分は存在しない」という意味
ではなく、「自分は完全に独立した主体ではない」という意味だそうです。
彼の言葉に耳を傾けてみましょう。
A lot of our suffering is born from the discrimination between self and others and
our notion of a separate self. Suppose you are a parent. Looking into your child,
you will see that your son, your daughter is your continuation. Just as a corn plant is
the continuation of a kernel of corn, the child is a continuation of the parent. The father
is there in every cell of the son. The father and son are not exactly one person,
but they are not exactly two different people either.
人間の苦しみの多くは、自己と他人の区別、それに独立した自己という概念から
生まれます。たとえば、あなたに息子や娘がいるとしましょう。よくよく見れば、
その子が自分の延長であることがわかるでしょう。植物がその種の延長であるように、
子どもは親の延長なのです。息子のすべての細胞に父親が存在しています。父と息子は
同一人物ではありません。だからといって、まったく別個のふたりの人間というわけ
でもないのです。
If the father can see this, he touches his nature of nonself. If the son suffers, the father
suffers, and vice versa. So getting angry at your son is getting angry at yourself.
Getting angry at your father is getting angry at yourself. This is very clear.
もし父親がこのことを理解すれば、自分は無我であるという本質を知ることになる
のです。息子が苦しめば、父親も苦しむ。そしてその逆もあります。息子に対して
憤るとは、すなわち自分に対して憤ること。父親に対して憤るとは、すなわち
自分自身に憤ることなのです。とても明快なことです。
When you are able to touch your nature of no-self, when you no longer see
a distinction between you and your daughter or son, your anger will vanish.
When you are in a power struggle, if you know how to meditate on nonself,
you will know what to do. You can stop your own suffering and the suffering of
the other people in the struggle. You know that his anger is your anger,
his suffering is your suffering, and his happiness is your happiness.
自分の無我の本質に触れることができるなら、娘や息子を自分と区別なく見られる
なら、あなたの怒りは消えるでしょう。力と力のぶつかり合いになったとき無我に
ついて瞑想する方法を知っていれば、何をすべきかがわかるはずです。自分自身の
苦しみも、もがいている他人の苦しみも止めることができます。相手の怒りは自分の
怒り、相手の苦しみは自分の苦しみ、相手の幸せは自分の幸せだからです。
It is because of ignorance that we suffer. When we begin to touch insight, we are
deeply in touch with reality and there is no longer fear. There is compassion.
There is acceptance. There is tolerance. This is why we talk about insight as
a kind of superpower. If you take time to look at reality using the insight of
impermanence and nonself, you will have a breakthrough that will liberate you
from your suffering and your difficulties.
人が苦しむのは、無知だからです。悟りに触れることができるようになれば、
現実を深く理解でき、もはや恐れはなくなります。その代わりに思いやりや受容、
寛大さが生まれるのです。それゆえに悟りは、ひとつの「超大力」と呼ばれるのです。
無常と無我の悟りを用いて現実をじっくり見つめる時間を持てば、突破口が開け、
苦しみや困難から解放されることでしょう。
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