マインドフルネスは、常に偏見のない第三者の目でものごとを見ることによって
養われると言います。その際、重要なのは、内的・外的なさまざまな体験に対して常に
評価をくだし反応している自分に気づくこと。マサチューセッツ大学メディカル・
センターのストレス・クリニックにおける大勢の人たちの臨床体験を基に書かれた
ベストセラー「マインドフルネス ストレス低減法」より、バイリンガルでご紹介
します。
Almost everything we see is labeled and categorized by the mind. We react to everything
in terms of what we think is its value to us. Some things, people, and events are judged
as “good” because they make us feel good for some reason. Others are equally quickly
condemned as “bad” because they make us feel bad. The rest is categorized as “neutral”
because we don’t think it has much relevance. Neutral things, people, and events are
almost completely tuned out of our consciousness. We usually find them the most boring
to give attention to.
私たちは、目に映るほとんどすべてのものに対して、心の中でレッテルを張り、分類
づけをしています。そして、それが自分にとってどの程度価値のあるものかと評価する
のです。ある種の事柄や人びと、出来事などについては、ある理由で良いと感じさせる
ので、“良い”に分類します。また、同様に、別の事柄や人びとなどは、悪いと感じ
させるので、瞬時のうちに“悪い”に分類するのです。これ以外は、さして関係ないと
思えるので、良いも悪いもない“中立”に分類し、ほとんど完全に意識のそとに追いやり
ます。私たちは、中立に分類されたものに注意を向けるなどという退屈なことは、まず
しません。
The habit of categorizing and judging our experience locks us into automatic reactions
that we are not even aware of and that often have no objective basis at all.
このような、自分の体験を分類し、評価をくだすという習慣によって、私たちは機械的
な反応しかできなくなってしまっています。しかも、そのことに気づくこともない
ために、客観的な視点ももてなくなっているのです。
These judgments tend to dominate our minds, making it difficult for us ever to find
any peace within ourselves, or to develop any discernment as to what may actually be
going on, inwardly or outwardly. It’s as if the mind were a yo-yo, going up and down
on the string of our own judging thoughts all day long. If you doubt this description of
your mind, just observe how much you are preoccupied with liking and disliking during,
say, given ten-minute period as you go about your business.
こうした評価が私たちの心を支配していると、心の中の安らぎを見いだすのは
むずかしくなります。心は一日中、自分勝手な評価という糸の上を、まるでヨーヨーの
ように上がったり下がったりしているのです。評価という言い方に疑問がある方は、
好き嫌いというレベルで考えてみてください。ほんの十分ぐらいのあいだに、自分が
好き嫌いという見方にどれだけ支配されているかを観察してみてください。
If we are to find a more effective way of handling the stress in our lives, the first thing
we will need to do is to be aware of these automatic judgments so that we can see
through our own usually unexperienced prejudices and fears and liberate ourselves
from their tyranny.
ストレスをより効率的にとり除く方法を見つけるには、まず、自分が評価を機械的に
くだしているということに気がつかなければなりません。この点に気がつけば、自分の
いだいている偏見や不安を見抜き、その支配力から自分を解放することができます。
When practicing mindfulness, it is important to recognize this judging quality of mind
when it appears and assume a broader perspective by intentionally suspending
judgment and assuming a stance of impartiality, reminding yourself to, as best you can,
simply observe what is unfolding, including your reactions to it. When you find the mind
judging, you don’t have to stop it from doing that, and it would be unwise to try. All that is
required is to be aware of it happening. No need to judge the judging and make matters
even more complicated for yourself.
「マインドフルネス瞑想法」を行なうときには、自分が評価をくだそうとしていること
を認識し、かたよらない客観的な瞑想者の立場でその状況を見るように意識的に努め
なければなりません。自分が評価をくだしているということに気がついても、それを
おしとどめようとしてはいけません。大事なのは、自分が評価をくだしていることに
気がつく、ということなのです。評価していることの善し悪しを評価してしまうような
ことになると、事態はますます複雑になってしまいます。
As an example, let’s say you are practicing watching your breathing, as we did in the last
chapter and as we will do a lot more in the next. At a certain point you may find your
mind saying something like, “This is boring,” or “This isn’t working,” or “I can’t do this.”
These are judgments. When they come up in your mind, it is very important to recognize
them as judgmental thinking and remind yourself that the practice involves suspending
judgment and just watching whatever comes up, including your own judging thoughts,
without pursuing them or acting on them in any way. Then go back to riding the waves of
your breathing with full awareness once again.
3章と4章で行なっていただくことになる「呼吸」のトレーニングについていえば、
呼吸を観察しながら、あなたが「退屈だ」とか、「効果があるとは思えない」とか、
「私にはうまくできない」などと思ったとすれば、それこそ評価をくだしているという
ことなのです。こういう思いが浮かんできたら、それが評価をくだしていること
なのだ、と認識することが大切なのです。この、認識するということは、どんなことが
起こるか成りゆきを冷静に観察する姿勢を養う練習にもなります。なんらかの評価を
くだす考えが浮かんできたとしても、そのこと自体にこだわったり反応したりせずに、
浮かぶままにまかせて、呼吸の観察を続けてください。
- 作者: ジョン・カバットジン,Jon Kabat‐Zinn,春木豊
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