しあわせになる英語 English for Happiness

日曜更新。人生に役立つバイリンガルの学び。

「エーリッヒ・フロム: 生きるということ」。その5。「持つこと」を捨てれば、嘘のように自分らしく「あること」が実現できる? “Erich Fromm: To Have or To Be?” No.5――Will you be able to unbelievably realize “being” as you are if you abandon “having”?

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なぜ私たちは、不幸の原因であるという「持つこと」を捨てることができないのか?
20世紀を代表する心理学者のひとりエーリッヒ・フロムの解説に耳を傾けてみましょう
――バイリンガルで、どうぞ。

Why cannot we abandon “having,” which is said to be the cause of unhappiness? Let’s
listen to the commentaries of Erich Fromm, one of the representative psychologists in the
20 th century ―― more to come both in English and in Japanese.

 

 

 

Only to the extent that we decrease the mode of having, that is of nonbeing――i. e.,
stop finding security and identity by clinging to what we have, by “sitting on it,” by
holding onto our ego and our possessions――can the mode of being emerge.

私たちが持つ様式、つまりあらざる様式を減らす――すなわち、安心感と
アイデンティティとを見いだすために、持っているものにしがみついたり、
<それを抱いて>いたり、自我や所有物に執着したりしなくなる――度合いに応じて
のみ、ある様式は現われることができる。

 

 

“To be” requires giving up one’s egocentricity and selfishness, or in words often used by
the mystics, by making oneself “empty” and “poor.”

<あること>は、自己中心性と利己心を捨てることを要求する。あるいはしばしば神秘的
思想家の用いる言葉によれば、それは自己を<空虚に>し、<貧しく>することによって
なすべきことである。

 

 

But most people find giving up their having orientation too difficult; any attempt to do
so arouses their intense anxiety and feels like giving up all security, like being thrown into
the ocean when one does not know how to swim.

しかし、たいていの人びとにとっては、持つ方向づけを捨てることはあまりにも困難で
ある。そうしようとするいかなる試みも、強い不安を引き起こし、身の安全がすべて
失われたような、泳ぎも知らないのに大洋に投げ出されたような、感じを覚えさせる。

 

 

They do not know that when they have given up the crutch of property, they can begin
to use their own proper forces and6 walk by themselves. What holds them back is the
illusion that they could not walk by themselves, that they would collapse if they were not
supported by the things they have.

彼らは財産という松葉づえを捨ててしまえば、自分自身の本来の力を用いて一人で
歩き始めることができるのを知らない。彼らを引き止めているのは、一人では歩けない
のだ、もし持っているものによって支えられなければ倒れるのだ、という幻想である。

 

 

They are like the child who is afraid that it will never be able to walk, after it has fallen the
first time. But nature and human help prevent human beings from becoming cripples.
Those who believe that they would collapse without using the crutches of having also
need some human help.

彼らは、初めに倒れたあとで、二度と歩くことができないのではないかと思っている
子供のようである。しかし、自然に守られ、人の助けに守られて、人間はそうならずに
済む。持つという松葉づえを使わなければ倒れるだろうと信じている人びともまた、
或る程度の人の助けを必要とするのである。

 

   

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Yet The Sky Is Blue それでも空は青い

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To Have or To Be? (Bloomsbury Revelations)

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生きるということ 新装版

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