しあわせになる英語 English for Happiness

日曜と水曜に更新。バイリンガルによる幸福への学び。

【号外・再録】天才ボブ・ディランの栄光と孤独を描いた、映画「名もなき者」。

 

 

映画「名もなき者 A Complete Unknown」が公開されています。私が2016年に、映画「ノー・ディレクション・ホーム」が公開された際に書いた記事を再録します。今回の「名もなき者」も、天才ゆえの、栄光と孤独が丁寧に描かれた傑作です。

 

2016年12月9日

 

"Play it fucking loud!"

ミュージシャンとして初めてノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランは、
つねに既成概念にはまることを嫌う反骨の人であり、その心意気を表した
有名な言葉が、これです。1966年、ライブにおいて、今までの
アコースティック・ギターをエレキ・ギターに持ち替えて演奏しようとした
「フォークの神様」に飛んだ「Judas(裏切り者)!」という野次。これに対して
ディランは、少しもひるむことなく、バンドメンバーを鼓舞する言葉を
放ってから、ロック史上に永遠に残る名曲「Like a rolling stone」を
歌い始めたのです。

 

Play it fucking loud!

大音響で演奏してやろうぜ!

 

アーティストにとってファンというものは、ありがたいと同時に、ヘタを
すれば変革を許さない足枷にもなってしまう存在。望まれるヒット曲を
繰り返して歌い、スタイルを変えないでいれば、それなりの延命をはかる
こともできるでしょうが、「革命児」ボブ・ディランは、それを良しと
しませんでした。ディランは歌います。

 

When you ain’t got nothing, you’ve got nothing to lose

何も持たないってことは、何も失わないってことだ

“Like a rolling stone”より

 

自分が築き上げてきたキャリアにしがみつかず、新しいことに挑戦し続けた
ディランに、あらためて敬意を表したいと思います。ホント、カッコいいぜ!