映画「愛のむきだし」“コリントの信徒への手紙1-13”「新約聖書」より
ある映画監督、ある女優がブレイクする瞬間というものがあります。園子温の
出世作「愛のむきだし」で、当時女優としては、まだ無名に近かった満島ひかりが、
聖書の一章を延々と「激白」するシーンを観た人の多くが、新しい名匠、そして
新しい名女優の誕生を目撃した、と感じたのではないでしょうか? 私にとっても、
このシーン、この映画は衝撃的で、観終わってからしばらくは呆然としていたの
ですが、その後、この「愛」についての確信に満ちたセリフ(というか、何分間
にもわたる長文)は、英語ではどうなっているのか、とても気になりました。
But if I have no love, I am nothing.
愛がなければ、私は何者でもない。
商業映画で、もとアイドルの女優に、聖書の中の長文(「コリントの信徒への手紙
1-13」)を、ほとんど丸ごと語らせるという園子温監督の「暴挙」が、その後どの
ような花を咲かせたかは、映画ファンであれば、誰もが知っているところでしょう。
4時間30分を超える大作ですが、観れば必ずズッシリとした手応えを感じるはず
です。そして「愛」について深く考えてみたい、という人、あるいは、欧米人との
コミュニケーションにおいて欠かすことができない聖書を、どこから読んだら良いか
迷っている人には、この一節から読み始められることをオススメします。和英対照
バージョンも、いろいろ出版されていますよ。