仏教の考え方では、人間とは、「生老病死」の苦しみを永遠に繰り返す、つまり
「輪廻(りんね)」に縛られた存在。仏教徒がめざす「悟り(enlightenment)」とは、
そこからの解放を意味していると言います。悟りへの第一歩は、「持戒(morality)」と
呼ばれるもので、もっと詳しい英訳では”strictly adhering to Buddhist precepts” つまり
「道徳的な教えを厳しく守ること」。言われてみれば、人間としてのまっとうな道を
歩むということで、実行できるかどうかは別にして、とくに難解なものでは
ありません。持戒における心構えを、ダライ・ラマが解説しています。
Effective practice of the morality of individual liberation depends upon sound, long-term
motivation. For example, one should not become a monk or a nun to avoid having to
work at a worldly job for food and clothing. Also it is not sufficient merely to seek to avoid
difficulty in this lifetime. To be motivated by such trifling purposes does not help to
achieve freedom from cyclic existence――the ultimate reason to practice the morality of
individual liberation.
悟りにつながる持戒を効果的に行なうためには、健全で長続きする動機づけが必要
です。たとえば、衣食を得るための世間的な仕事につくのを嫌って、僧なり尼僧に
なろうとするのはよくありません。また単に人生の苦難から逃れるために、ということ
でも充分ではありません。こうしたふまじめな目的に動機づけられているようなこと
では、輪廻する存在からの解放――これが悟りにつながる持戒を実践する究極の理由
――を達成することはかないません。
This is confirmed by Buddha’s life story. One day Shakyamuni slipped outside the palace
wall to experience life for himself. For the first time he saw a sick person, an old person,
and a corpse. Deeply troubled by the suffering of sickness, aging, and death, he came to
the conclusion that worldly life is without substance. Later, inspired by several religious
practitioners, Buddha became captivated by the possibility of a higher, more meaningful,
spiritual life. At that point he escaped from the palace, leaving his ordinary life behind to
pursue that vision.
このことは仏陀の生涯の物語によっても実証されます。釈尊はある日、宮殿の壁の外に
出て貴重な人生体験をします。初めて病人、老人、死骸を見たのです。病むこと、
老いること、死ぬことの苦に深く心を悩まされ、この世は無常だという結論に
達します。後に何人もの宗教家の教えを請い、仏陀はもっと崇高でもっと意義深い
精神世界の可能性に魅了されるようになります。そこで彼は理想を追求するために宮殿
を抜け出て、それまでの生活を離れるのです。
What does this teach us? Like Buddha we need to begin by becoming concerned about
the suffering of cyclic existence and by turning away from temporary distractions.
Influenced by this new attitude, we must take up a system of morality by renouncing
cyclic existence and by taking vows of pure behavior through seeking to avoid the ten
nonvirtues.
これは私たちに何を教えてくれるのでしょうか。仏陀のように、私たちも自分が輪廻的
存在としての苦に気づき、一時的な享楽から離れることから始めなければならないと
いうことです。この新しい心構えのもとで、私たちは輪廻的存在であることを放棄し、
十の不善を避けようとすることによる清廉な行動の誓いを立てることによって、持戒の
実践方法に取りかからなければなりません。
■ここでいう、「十の不善 (ten nonvirtues)」とは、以下のとおり。
killing, stealing, sexual misconduct, lying, divisive talk, harsh speech, senseless chatter,
covetousness, harmful intent, wrong views
殺生(せっしょう)、偸盗(ちゅうとう)、邪淫(じゃいん)、妄語(もうご)、
両舌(りょうぜつ)、悪口(あっく)、綺語(きご)、慳貪(けんどん)、
瞋恚(しんい)、邪見(じゃけん)
それにしても、これら日本語の単語は難しいですね。第一、読めないし、ほぼ日常生活
で使わない言葉ばかり。それに対して、例えば、「偸盗」は”stealing” 。英語で
言われたほうが、スッと頭に入るのではないでしょうか。この「しあわせになる英語」
を始めたひとつの理由がここにあります。少しでもお役に立てれば幸いです。
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