“the Master of Suspense(サスペンスの巨匠)”ヒッチコックは、”Think visually
(視覚的に考える)”巨匠でもあった、とわかるドキュメンタリー、それが
「ヒッチコック/トリュフォー」ではないかと思います。彼は言います。
映画にとって、
Logic is dull.
論理は退屈なもの。
スクリーンに映った時に、どう見えるか? がすべてであり、そのための、
さまざまな映像言語を開発したパイオニアがヒッチコックなのです。あの
「セブン」「ゴーン・ガール」のデヴィッド・フィンチャーも、この映画の
元となったロングセラーの名著「映画術 ヒッチコック・トリュフォー」で
カット割のイロハを学び、「CURE」「ダゲレオタイプの女」の黒沢清も、
自分にとっての「バイブル」と言い切っています。聞くところによると、
最近の子供は、新しいことを学ぶのに、本を読むよりも、まず、You Tubeを
検索するのだとか。そんな時代に生きる我々にとって、映像言語の基本を
知っておくことは、けっして無駄なことではないでしょう。ただし、この
ドキュメンタリーをこれから観るという方へ、ひと言。なるべく多くの
ヒッチコック作品を観ていたほうが、この映画は楽しめると思います。
少なくとも、「めまい」と「サイコ」だけは、事前に観ておいたほうがいい。
そうでないと、種明かしを先に知ってからマジックを観るのと同じになって
しまいますから。もちろん、未知のものを知るドキュメンタリーとして良く
できていることに変わりはありません。それから、英語を学んでいる方へ。
巨匠が映画について語る英語を、たっぷり聞けますよ。