「怒り(anger)」は、私たちの感情の中でも、とりわけやっかいなもの。善悪の
判断力を鈍らせ、後悔してもしきれない行動へと駆り立てる破壊者だと言います。怒り
の正体とは何か?そして、その害から身を守るにはどうしたら良いか?ダライ・ラマの
解説を、バイリンガルでお届けします。
Use your common sense. Is anger useful? If you get angry with someone, is the result
good for you or for the other person? Nothing helpful comes of it. And, in the end, anger
harms you more than anyone else.
常識で考えてみましょう。怒りは役に立ちますか。誰かに腹を立てたら、自分や相手に
よい結果をもたらしますか。何ひとつ、役に立つものは生まれないでしょう。しかも
結局、怒りはほかの誰よりもあなた自身を傷つけます。
When you are angry, good food is not tasty. When you are angry, even the faces of
your spouse, children, or friends are irritating, not because their faces have changed
but because something is wrong with your own attitude.
怒っていると、おいしいものもおいしく感じられません。怒っていると、夫や妻、
子どもたち、友達の顔にもイライラするでしょう。彼らの顔が変わったのではなく、
あなた自身の姿勢に問題があるのです。
On the other hand, when an unfortunate event occurs, you can handle it more effectively
in the absence of anger. Anger is almost useless. A harsh word may be spoken
sometimes to keep someone from doing something stupid, but anger should not be
its primary motive; love and compassion should be. Actions stemming solely from anger
are of no use at all; realizing this can strengthen your determination to resist them.
反対に、怒りがなければ、不運な出来事が起こってもわりあい上手に対処することが
できます。怒りは、ほとんど役に立ちません。きつい言葉を使えば、誰かの愚かな行為
を止められるかもしれません。しかし、その主たる動機は怒りではなく、愛情と
思いやりであるべきです。怒りに駆られただけの行動は、何の役にも立たないのです。
それをよく認識すれば、怒りに抵抗する決意も高まることでしょう。
Remember, anger is a turbulent state of mind based on exaggeration that makes
something (another person, your own pain, or even a cause of pain like a thorn) seem
more unpleasant than it really is; hatred rages against that object and drives us to do it
harm. When you get angry, you create additional discomfort for yourself and among
those around you. Even bystanders feel awkward, and intimates are saddened and
disturbed.
心に留めておきましょう。怒りとは、誇張によって心が乱れている状態のこと。そう、
何か(他者、自らの苦痛、とげなど苦痛の原因となるもの)が誇張されて、現実より
不快なものに見えているのです。すると、対象への怒りがわき起こり、害を及ぼしたい
気分になります。腹を立てると、自分自身や周りの人たちをさらに不快な気分にして
しまいます。たまたま居合わせた人たちでさえ気まずい思いをし、親しい人たちは
悲しみ、心を乱されるでしょう。
If hateful actions are taken, the disturbance spreads further. In this way, destructive
emotions ruin your life and the lives of others in your family and community. All the many
upsets that are so prevalent in the world stem from the three disturbances of lust, hatred,
and ignorance.
怒りに満ちた行動を取れば、動揺はさらに広がっていきます。このように、破壊的な
感情は、自分の家族やコミュニティの人たちの人生をめちゃくちゃにするのです。
世の中でおなじみの混乱はすべて、「欲望」「怒り」「無知」という三つの心の乱れ
から生まれています。
At those times when your senses encounter pleasant or unpleasant objects, practice
keeping your mind from falling into lust or hatred by recognizing their disadvantages;
be determined not to sanction them.
快適なものや不快なものを感知したときは、心が欲望や怒りに陥らないように、欲望と
怒りのデメリットを認識する修行を行ないましょう。欲望や怒りを正当化しないと
決めましょう。
Then, mindful that these emotions need to be restrained, you can become more attentive
to situations that might generate self-destructive emotions. When such situations occur,
see if afflictive emotions are being generated. You need to maintain this vigilance
no matter what you are doing. In this way, you can make use of each day of your life,
while recognizing that lust and hatred continue to arise from time to time.
こうした感情は抑えるべきもの、と意識していれば、自滅的な感情を引き起こし
かねない状況に、もっと用心深くなれます。そうした状況が生じたら、煩悩が芽生え
つつあるかどうか、確かめましょう。何をしているときでも、この警戒を怠っては
いけません。そうすれば、欲望や怒りが時折芽生えていることを知りつつも、人生を
日々有意義に生きることができます。
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