マサチューセッツ大学メディカル・センターのストレス・クリニックにおける大勢の
人たちの臨床体験を基に書かれたベストセラー「マインドフルネス ストレス低減
法」。そもそもマインドフルネス瞑想法とはどんなものかを知ってもらうために、
初めに患者たちに試してもらうという、“食べる瞑想”を、バイリンガルでご紹介
します。
First we bring our attention to seeing one of the raisins, observing it carefully as if we had
never seen one before. We feel its texture between our fingers and notice its colors and
surfaces. We are also aware of any thoughts we might be having about raisins or food
in general. We note any thoughts and feelings of liking or disliking raisins if they come up
while we are looking at it.
まず最初に、レーズンを観察することに注意を集中します。初めて見るようなつもりで
観察します。指でつまんだ感触を確かめ、色や表面の状態に注意をはらいます。
こうしていると、レーズンやほかの食べものについてのいろいろな思いがわきあがって
くるのに気がつきます。観察しているうちに、好きとか嫌いとかいった思いや感じも
生まれてきます。
We then smell it for a while, and finally, with awareness, we bring it to our lips, being
aware of the arm moving the hand to position it correctly, and of salivating as the mind
and body anticipate eating. The process continues as we take it into our mouth and
chew it slowly, experiencing the actual taste of one raisin.
次に、しばらくレーズンの匂いをかぎ、最後に、うまく口に持っていくために腕が手を
持ちあげ、心と体が食べものを予期して唾液を出すのを意識しながら、唇にレーズンを
乗せます。そのまま口に入れ、一粒のレーズンの本当の味を確かめながら、ゆっくりと
かみしめます。
And when we feel ready to swallow, we watch the impulse to swallow as it comes up,
so even that is experienced consciously. We even imagine, or “sense” that now our
bodies are one raisin heavier.
充分にかんだら、飲みくだすときの感触を確かめながら飲みこみます。飲みこむという
行為でさえ、意識的に体験することができるのです。飲みこんでしまうと、自分の体
が、レーズン一粒分だけ重くなったような気がします。実際にそう“感じる”ことが
できるかもしれません。
When you eat mindfully, you are in touch with your food because your mind is not
distracted, or at least less distracted. It is not thinking about other things. It is attending
to eating. When you look at the raisin, you really see it. When you chew it, you really
taste it.
注意を集中すると気が散らないので、食べもの自体を感じとることができます。ほかの
ことはいっさい考えずに、食べることだけに集中できます。すると、レーズンをありの
ままに見ることができるのです。また、本当に味わうこともできるわけです。
Knowing what you are doing while you are doing it is the essence of mindfulness
practice. This knowing is a non-conceptual knowing, or a bigger than conceptual
knowing. It is awareness itself. It is a capacity you already have. That’s why we call
the raisin-eating exercise “eating meditation.” It helps make the point that there is
nothing particularly unusual or mystical about meditating or being mindful.
注意を集中することによって、文字どおりあなたは目ざめていきます。意識せずに、
機械的にものごとを見たり、行なったりするいつものやり方から脱出することができる
のです。このように、自分が何かをしている最中に、自分がしていることを意識できる
ようにするのが、「マインドフルネス瞑想法」の本質です。「マインドフルネス瞑想
法」には、特に変わったところも神秘的なところもないということがおわかり
いただけたと思います。
All it involves is paying attention to your experience from moment to moment. This leads
directly to new ways of seeing and being in your life because the present moment,
whenever it is recognized and honored, reveals a very special, indeed magical power:
it is the only time that any of us ever has. The present is the only time that we have to
know anything. It is the only time we have to perceive, to learn, to act, to change, to heal,
to love. That is why we value moment-to-moment awareness so highly. While we may
have to teach ourselves how to inhabit this capacity of our own mind for this kind of
knowing through practicing, the effort itself is its own end. It makes our experience
more vivid and our lives more real.
瞑想とは、瞬間、瞬間の体験に注意を向けるためだけに行なうものなのです。そして
瞑想によって、自分の人生を見つめ、瞬間の中で生きるという新しい生き方ができる
ようになっていくのです。“現在”という瞬間には、その存在を認めて尊重しさえ
すれば、魔法のような特殊な力が秘められています。それは、誰もがもっている
かけがえのない瞬間なのです。私たちが知らなければならないのは“現在”という瞬間
だけです。“現在”という瞬間だけを知覚し、学び、行動し、変え、癒さなければ
なりません。たからこそ、“瞬間瞬間を意識する”ということがとても大切になってくる
のです。瞬間をより意識できるようにする方法は、瞑想トレーニングを通じて学んで
いくことになりますが、そこでは、努力するということ自体が目的なのです。努力する
ことによって、あなたの体験はより生き生きとしたものになり、人生はより本当のもの
になっていくのです。
- 作者: ジョン・カバットジン,Jon Kabat‐Zinn,春木豊
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