マインドフルネスの伝道師、ティク・ナット・ハンによれば、私たちは皆、意識の
奥底に怒りの種をもっている。でも、人によって、怒りの種が、愛や思いやりなど
ほかの種に比べて大きいことがある、と言います。そのような人は、同じ言葉を
聞き、同じ状況を見ても、他の人は冷静なのに、簡単に怒ってしまう。
And because you have not practiced the methods for taking good care of your anger,
the seed of anger has been watered too often in the past.
これまで怒りに対処する実践をしてこなかったために、怒りの種に水をやり過ぎて
しまっていたのかもしれません。
ティク・ナット・ハン著「怒り (anger) 」より
実践とは、まず「気づきの呼吸 (mindful breathing) 」(意識的な呼吸と訳される
こともある)。そして、「怒り」を、泣きわめく赤ん坊を世話する母親のように、
「やさしく抱きしめる」こと。こうした、「マインドフルネス(気づき)」を
重ねていれば、
When we begin to cultivate the energy of mindfulness, the first insight we have is
that the main cause of our suffering, of our misery is not the other person-it is the
seed of anger in us. Then we will stop blaming the other person for causing all our
suffering. We realize she or he is only a secondary cause.
気づきのエネルギーを養い始めると最初に得られる洞察は、苦しみや悲しみの
原因は、他者ではなく、自分の中にある怒りの種だということです。すると、
自分を苦しめたと他者を責めなくなります。相手は二次的要因でしかないことに
気づくのです。
怒りの種に水をやり過ぎないために、日頃から、「気づきの呼吸」を行ない、
母親のように「怒りの世話」をする。誰にでもイメージしやすい実践方法では
ありませんか。事実、私自身も、この実践を続けているおかげで、無駄に怒り
の炎を燃やすことはなくなりました。もちろん、時には、「正しく怒る」ことも
必要だと思いますが、その怒りによって自分自身を破滅させてしまっては、
元も子もありません。ティク・ナット・ハンの教える、マインドフルネスの智慧。
毎日の暮らしに役立ててみては、いかがでしょうか。
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